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おせっかい×おせっかい=?/高知県梼原町(ゆすはらちょう)

高知・奥四万十

コミュニティ経済, 地域協働, 地域生活インフラ, 高齢者支援

「お節介」。

  この言葉、あまり印象の良い言葉ではありません。辞典で調べても「出しゃばって、いらぬ世話をやくこと。」と書いています。
  高知県梼原町。町面積の91%が森林で、町中心地の標高は400m超え。南国土佐と言われる高知県でも雪が積もる、人口3600人の小さな町。
  自分自身、そんな梼原町にゆすはら応援隊として兵庫県西宮市から移住してきて、いろんなお節介をしてきたし(もしかしたら移住してくること自体お節介なのかもしれない)、地域の方の好意がちょっとお節介やなと思うこともありました。

  今回は、この「お節介」という言葉を「おせっかい」に言い換えて、昔ながらの「ちょっとおせっかいな人」を「おせっかいさん」と称してみます。「おせっかいさん」がたくさんいる梼原町でどのような「おせっかい」があるのか、高齢者福祉の分野で移住してきた者の視点で見たこと、感じたことをお伝えしたいと思います。

「60歳」

  私のイメージは、定年退職しセカンドライフを考え、孫に目を細める世代と思っていました。しかし、高齢化率42%を超える梼原町では50代、60代は集落の中で若手と言われています。(30代の私はまだまだ小生意気な若造でしょう…)
  そんな梼原町では、生涯現役で住み慣れた地域で暮らし続けることを目標に、行政と住民が一体となって行われている取り組みがあります。

「いきいきふれあい広場」

  遡ること25年前…、平成4年に試験的に始まったのが“いきいきふれあい広場”です。高齢者の閉じこもりを防ぎ、介護予防、地域での世代間交流の場づくりなどを目的とし、2年後の平成6年に事業化されました。現在は行政から梼原町内にある「区」、又は区内の「集落活動センター」に事業委託され、町民主体で運営をしています。
(集落活動センターについてはこちらをご参照ください。
http://localnippon.muji.com/news/1507)

  町内には56もの集落が存在し、それぞれの集落を包括する自治組織を「区」と呼んでいます。町内には6つの区があり、それぞれに「区長」を置いて、自主防災組織や健康づくりの活動などを行っています。
  いきいきふれあい広場での活動は端的に言うと「みんなで集まっておしゃべりしながら元気か確認し合って。ついでにお昼も一緒に食べてちょっと遊んで帰ろうか」です。各区で詳しい内容は異なりますが、健康チェック、昼食、レクリエーションという流れで活動を行っています。
  運営は区の老人クラブなどが担っているのですが、もちろんそこにもおせっかいさんがいます。“来た人たちに楽しんで帰ってもらおう!また、来たいと思ってもらえるようにしよう!”という思いが伝わってきます。例えば、レクリエーションひとつとっても、できるだけ同じ内容にならないように工夫をしていて、ある時は落語やトランペットの生演奏などまたある時は、病院の先生による健康づくり講座など様々なことが行われています。
  また、参加している方を見ても、保健師さんとの距離がものすごく近かったり(孫の話や先月の話の続きなど)、自宅で作った野菜を食べてもらいたいと大量のじゃがいもを持ち寄ったりと、傍から見ているとちょっとおせっかいかな?と思うこともありますが、このような事があるからこそ、長い間いきいきふれあい広場が続けられていると最近は感じています。

おせっかい×おせっかい=?

  この、いきいきふれあい広場が始まった時からおせっかいをしている、松原区の久岡喜美さんにお話を聞いてみました。
  元々は、行政からサテライトデイサービス(現在のいきいきふれあい広場)を試験的に行ってみないかと誘われた事と、地域のふれあいセンターができた事がきっかけで、交流の場づくりの一環として始まりました。
  始めたころは地区内の3か所で行われており、ご飯の用意などボランティアでやっていたので食材や人手不足の問題など本当に大変だったそうですが、25年間続けてこられたのは地域の支えがあったからだと話してくれました。
  最初に松原区で始まったいきいきふれあい広場は、町内の他の地区のおせっかいさんにも広がり、今では全6区で行われています。
  一方で、地域の交流の場であるいきいきふれあい広場をこれからも続けていけるように、次のおせっかいさんにどう託していくのか、地域に子どもが少なくなり子どもの声を聴くことが無くなったからもっと世代を超えた交流ができたらえいね、ともおっしゃっていました。ちなみに「あと、男性の参加者が少ない」と私も少し怒られてしまいました…(笑)
さらには「うちのお父さんを誘っても絶対に行かないと言って聞いてくれない」とのことで、この記事に必ず書きます。と久岡さんと約束したためここに記しておきます。

おせっかい×おせっかい=?

「四万川家、よりくんど」

  各地区のおばちゃん達が独自で行っている取り組みもあります。その中でも、私のゆすはら応援隊としての担当地区「四万川(しまがわ)区」の取り組みについてご紹介します。
  四万川区には各集落で生まれた婦人グループ、「よりくんど」と「四万川家(しませんか)」という団体があります。
  「よりくんど」は、昔から地域で作られていた焼き餅を改良した「みかえり焼きもち」を製造・販売しており、いきいきふれあい広場の開催に合わせて、作りたての焼きもちを持っていきます。また、「四万川家(しませんか)」は、地域で採れた野菜などを使ったお弁当やおかずを製造・販売しており、高齢者の見守りを兼ねて、月2回お弁当の配食を行っています。
  四万川区の中心部にある「集落活動センター四万川」での販売もしていますが、地域が広いので、車が無い高齢者の方にも購入してもらえるように、また顔を見て少しでも話ができるように、ちょっとした“おせっかい”の心で配食や訪問をしているとの事です。

おせっかい×おせっかい=?

「おせっかい×おせっかい=?」

  このように、町内にはたくさんの“おせっかいさん”がいます。近所に一人暮らしをしている高齢者がいれば「最近見んけど、ちょっと覗きにいってみようか?」と気遣ったり、高齢者が「作った野菜、一人じゃ食べきれんき食べて」と一人暮らしの若者に野菜を持ってきてくれたり…。それは表面上だけを捉えれば、ただ単に人口が少ないからこそ見られる風景といえるかもしれません。しかしながら、「おせっかい×おせっかい=?」の私なりの答えは、「おせっかい×おせっかい」=「梼原の地でみんなが共に生きるために受け継がれてきた独自の生活文化」のように感じています。この地域で住み続けて30年後ぐらいに、私自身がこのような“おせっかいさん”になれたらいいなと思います。

(文:ゆすはら応援隊 平脇慶一)