ローカルニッポン

あなたは“探偵”!謎を解いて、町の魅力を遊び尽くせ!-新たな観光開発に挑戦。“ROLE PLAYING TSUWANO”-


今からあなたは“探偵”。この依頼の謎を解き明かしてもらいます。

赤い鳥居が描かれたパンフレットを持って、「探偵証」と書かれたネームプレートを下げて町を歩く若者たち。たまに立ち止まって眺めている紙には、暗号が書かれている。この暗号を解いてスマホサイトに入力すれば次の行き先が示されると同時に、津和野町にまつわる様々なストーリーを覗くことができる。

(ROLE PLAYING TSUWANOのチラシ)

(ROLE PLAYING TSUWANOのチラシ)

これは、昨年から津和野町で行われている「ROLE PLAYING TSUWANO」という観光イベントの様子です。ROLE PLAYING TSUWANOでは、「津和野探偵事務所」という架空の探偵事務所が設けられています。イベント参加者には津和野探偵事務所の「探偵」となってもらい、依頼された謎の調査を進めてもらいます。これまでに『水を追いかけろ編』『怪しい異邦人編』『変態を止めろ!編』の三つのイベントを行っています

「より面白い津和野」を、遊んでほしい

津和野町は、過疎が進む人口8000人の小さな町。同時にこの津和野は年間100万人の観光客が訪れる観光名所でもあります。藩時代の面影を残す町並み、日本五大稲荷とされる太鼓谷稲荷神社、聖母マリアが現れたとされる乙女峠、森鷗外や西周を輩出した藩校・養老館などと、観光の素材はたくさんあります。また、2015年4月には「日本遺産」にも指定されました。しかし、近年は観光客の減少が問題となっています。

中でも大きな課題は、「観光客の高齢化」と「若年層に対する津和野町の認知度の低さ」です。中国地方の若者でさえも「津和野町を知らない」という人が多く、観光地としての未来に不安が募っています。これまでの津和野の魅力に加えて、若者に向けた新たな魅力を作る必要があります。その中で始められたのが、このROLE PLAYING TSUWANOです。

(謎解きをする参加者)

(謎解きをする参加者)

このROLE PLAYING TSUWANOの開発メンバーは、私を含めて全員が20代前半の移住者です。イベントの内容や展開は事実とリンクしていて、ゲームを通じて実際の津和野が垣間見えてくるように工夫しています

私たちが大切にしていることは、参加者の方に「より面白い津和野」を遊んでもらうことです。実際に津和野に住んで感じることは、「観光地・津和野ではなく《ありのままの津和野》は、もっと面白い」ということでした。津和野町民には色々なチャレンジをする人が多く、自分たちの生活は自分たちで面白くするという意識の下で、様々な試みが行われています。一方で、観光客の方が町を訪れても、ただ観光名所を回るだけではこの面白さを感じてもらうことが難しいと思っています。観光地の中には残念ながら老朽化が進んでいて古く見えるところもありますが、今生きている津和野は、もっと人間臭くて楽しい町なのです。その部分をゲームという形にして、「実際に自分で謎を解いて、物語を進めていくというワクワク感」を持ちながら津和野を見て回ってもらうことで、津和野をより楽しんでもらえたらと思っています。

変態を止めろ!篇

2014年11月にリリースしたROLE PLAYING TSUWANOは、2015年3月に最新版の「変態を止めろ!篇」を行いました。「水を追いかけろ編」と「怪しい異邦人編」は隔週土日で20人程度の参加者を対象に行っていましたが、この回は特別編として60人を定員として行いました。内容も会場セットも大掛かりなものとなり、スタッフには津和野高校の生徒にボランティアとして手伝ってもらいました。

「変態を止めろ!編」の説明を聞く参加者

(「変態を止めろ!編」の説明を聞く参加者)

制限時間内に箱の鍵を開けなくてはならない

(制限時間内に箱の鍵を開けなくてはならない)

当日は定員を上回る80人の方が参加され、どのチームも町中を歩いてヒントを集め、答えを見つけては大興奮をしており、とても満足度の高いものになりました。

「変態」という言葉に最初は驚かれますが、謎を解いていくと津和野町の歴史が見えてきて、さらに謎を解いていくとトランスフォームの意味の「変態」だということが分かってきます。このストーリーでは、これまで津和野町の文化は多くの先人の手によってその形を変えており、現在もまた次々に変化していることが語られています。町自身が生まれ変わるタイミングはこれまでもこれからも幾度とあり、私はこのROLE PLAYING TSUWANOが生まれたことも、そしてこれから行っていく活動も、津和野が次の形に変態していく流れの一つだと思っています。

ワクワクする取り組みを、色々な局面で作る

これまでのROLE PLAYING TSUWANOは、謎を解いてストーリーを辿っていく「○○編」のみでしたが、今後は様々なコンテンツを展開し、町を訪れた観光客の方々に気軽に楽しんでもらえるものにしたいと考えています。具体的には町のお祭りにて30分〜1時間程度で開催するものや、女性向けのスイーツを食べ歩きながら謎を解く「スイーツ探偵」企画、また「すごろく編」として子供でも気軽に遊べるサービスの開発を進めています。

津和野は素晴らしい歴史・文化がある町です。その歴史・文化は時代時代の先人達が作り上げたものであり、今に伝わっています。これからの津和野に、今の私たちの活動を新たな歴史・文化として積み重ねていき、50年後100年後にも残していけるよう、色々と考えながら頑張っていきます。

皆様、是非とも島根県津和野町に遊びにきてくださいね。

文:ROLE PLAYING TSUWANO  小林 愛真美