ローカルニッポン

奥尻三大祭り


奥尻島の夏をより一層楽しめ、さらには奥尻の食を味わえる祭りについて紹介していきましょう。奥尻の祭りは一般的な祭りの雰囲気とは違い、はるか昔から島として存在していたことから、より深く地域の特徴、文化、歴史的背景を感じることができます。例えばこれから紹介するムーンライトマラソンで行われる「祈漁太鼓(きりょうたいこ)」は、漁師の大漁祈願の思いがあり始まりました。そしてなんといっても「食」、これこそまさに奥尻を代表する魅力の一つです。その中でもどれをとっても美味しいウニ・アワビや魚などの海の幸は島一番の自慢であり、それらを楽しめるのも祭りの醍醐味です。それでは、奥尻三大祭がどんなものなのかをみなさんにお届けしていきます。

賽の河原(さいのかわら)祭り

「賽の河原祭り」は奥尻島三大祭りの中で毎年一番早く6月中旬に行われます。賽の河原とは、いわゆる「三途の川」と呼ばれるところで海岸では石が積み重ねられた「石塔」を数多く見ることができます。そのような場所で祭りを開催していいのかと不謹慎に思われるかもしれませんが、これには理由があるのです。

賽の河原は島北東部の稲穂岬にあり、その昔、北東の日本海は波が強いため荒波に巻き込まれ亡くなってしまう人が多くいた地域です。その中には、幼い子どもたちもいたようです。「もうそのようなことが起こらないように」、「もう二度と命を奪われないように」という追悼の意を込めて「賽の河原祭り」が行われるようになったのです。そのためこの祭りでは追悼の意として灯篭を流します。

ここまでの話を聞いて「暗い、悲しい祭りだ」と思われた方がいるかもしれません。実際は全く違います。今では「賽の河原祭り」で子ども相撲大会、島芸人No.1決定戦などの楽しいイベントを行っています。その島民の陽気な力のおかげで「賽の河原祭り」は明るさがにじみ出ています。また、子ども相撲大会には、過去に幼い子どもたちが亡くなっていたことから、健やかに長生きできるようにという願いも含まれているのかもしれません。

もちろん奥尻高校も参加しており、吹奏楽部による演奏発表などがあります。このように追悼の意を込めるとともに島民みんなで盛り上がる祭りなのです。

賽の河原祭りでの灯籠流し(提供:奥尻島観光協会)

賽の河原祭りでの灯籠流し(提供:奥尻島観光協会)

室津(むろつ)まつり

そして、7月中旬になると、「室津まつり」が行われます。この祭りは島の南端に位置する青苗(あおなえ)漁港で2日間開催されます。青苗岬沖合付近にある室津島にちなんでこの名前が付けられています。

この祭りは漁師さんの航海の安全と大漁を祈願して開催されているため、漁師さんに関係深いものを使った数多くのイベントが行われます。まずは一般、高校生、中学生、小学生による「ボート引き」です。海に浮かせたゴムボートをロープで繋ぎ、漁港から4人一組でどれだけ早く引っ張れるかを競います。実際、目で見てみると躍動感が伝わり迫力満点です。

そして小中学生による「よさこい」も行われます。多人数での一体感、迫力のある演技はとても魅力的です。そしてメインイベントは「海上ハッポー渡り」です。ハッポー渡りとは海に発泡スチロールを浮かばせ、その上を渡りきれるかを競う競技です。三人一組でチームを組み渡りきれたら豪華賞品を手に入れることができます。実際に参加した人の声は、「想像よりも難しく滑りやすいので、海に落ちた時這い上がるのが大変」と言っていました。見ているのは楽しいのですが、海の上では熱い闘いが繰り広げられていました。この室津まつりは大漁や航海安全の祈願以外にも、島民はもちろん、島外から来た観光客にも楽しんでもらえるよう海にちなんで趣向を凝らしたイベントが行われるようになったのかもしれません。

さらに、この祭りでは数多くの露店が並んでおりここで食べることのできる奥尻の海産物も魅力となっています。奥尻島漁協青年部が養殖している新鮮な岩ガキやツブ、ウニ汁も食べることができます。ウニやツブといった海の幸は炭火で焼いて食べることもできます。

「室津まつり」は、奥尻三大祭りの中で最も海に関係している祭りです。奥尻の海を堪能したいという方は、是非来てみてはいかがでしょうか。

室津祭り名物「海上ハッポー渡り」(提供:奥尻島観光協会)

室津祭り名物「海上ハッポー渡り」(提供:奥尻島観光協会)

なべつる祭り

そして、奥尻島三大祭りの最後を飾るのは8月下旬にフェリーターミナル横、奥尻島海洋研修センター裏で開催される「なべつる祭り」です。奥尻島のシンボル「なべつる岩」にちなんで、観光祭と産業祭を兼ねた島内最大級のイベントとなっています。

「なべつる祭り」最大の目玉グルメは「おくしり和牛」です。奥尻島唯一の牧場で、潮風をたっぷり浴びたミネラル豊富な牧草を食べているため、健康的できめ細かい肉質の和牛に育ちます。出荷頭数は年に10頭ほどと非常に貴重な和牛で、市場に出回っておらず島民も年に一回しか食べることができないのです。他の和牛では味わうことのできない至高の柔らかさをぜひ堪能してみてください。

 そしてこの祭りでは、いくつかのイベント競技があり、最も盛り上がるのが「人間カーリング」です。ルールは簡単で簡易プールに向かって、タライに乗った選手を押してローラーがついた橋の先端ギリギリのところで止められるかを競う競技です。奥尻島民は次々と水に落ちていき、なべつる祭りを大いに盛り上げてくれます。なべつる祭りの参加者の一番の楽しみはこの人間カーリングといっても過言ではありません。そして、この時期は夏休み中とあって、帰省してきた方、さらには観光客が多く来島し、三大祭りの中でも一番の盛り上がりをみせます。

人間カーリングに挑戦する奧尻高校生

人間カーリングに挑戦する奧尻高校生

ムーンライトマラソン

さて奥尻島三大祭はいかがだったでしょうか。奥尻島にはこの三大祭以外にも様々なイベントがあります。夜風が涼しく気持ちいい6月に行われる「ムーンライトマラソン」を紹介します。このイベントは沖縄県伊平屋島で行われているムーンライトマラソンの姉妹大会で、北の島である奥尻島と南の伊平屋島をスポーツでつなぐ貴重な交流の場でもあります。

街の中をビル群や歴史的建造物を見ながら走る大都会のマラソンも魅力的ですが、奥尻の壮大な自然の中で満月を眺めながら走るのは他では絶対できない体験です。

奥尻島の森の大半はブナの木で占められていて、ブナの森は水を備蓄しろ過する性質を持っているため、奥尻の海は大変透明度が高く綺麗です。そんな美しい海とそこに浮かぶ漁船の漁火、島に広がる雄大な緑を眺めながら、そして夜空に輝く満点の星空を堪能しながら、この島を走ってみたいと思いませんか。

さらにこのマラソン大会を魅力的にしているのは前夜祭と後夜祭です。大会前日の夜、海洋研修センターで行われる前夜祭では奥尻の伝統的な太鼓演奏「祈漁(きりょう)太鼓」の音色を聞きながら島の海産物を楽しむことができます。

そして、ゴール会場である旧青苗中学校体育館で後夜祭が行われます。ゴールして疲れたランナーたちを奥尻町民が温かく迎えます。奥尻高校生もボランティアスタッフとして、奥尻の海の幸で栄気を養うランナーのサポートをしています。

ランナーを出迎える奧尻高校ボランティアスタッフと島民の方々

ランナーを出迎える奧尻高校ボランティアスタッフと島民の方々

奥尻自慢の海の幸(提供:奥尻島観光協会)

奥尻自慢の海の幸(提供:奥尻島観光協会)

ムーンライトマラソンはマラソン大会としてだけではなく、島民とランナーたちがつながり、島をぐっと深く知ることのできる貴重な場であるといえるかもしれません。

これからも奥尻の秘めたる魅力やこの地をより楽しむためのコツ、穴場スポットを発信していきます。是非次の記事で、そして奥尻島でお会いしましょう。

文・写真:北海道奥尻高等学校 オクシリイノベーション事業部(OID)

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