ローカルニッポン

今ここで、できること。 宮城県仙台市

コロナウィルスという見えないものに対峙し、当たり前が当たり前でなくなった今、改めて働き方や暮らし方を考える方も多いのではないでしょうか。
何が必要で不必要なのか、本当に好きなもの面白いと思うモノコトは何なのか。こんな時におたがいさま、おかげさま、お疲れ様と伝えあえる相手は誰なのか、を立ち止まって考えること。

一方で、様々な地域の個人商店や顔なじみの飲み屋さん、自然と人が集まるシェアスペース等、今まで当たり前に訪れていた場所が危機に直面して困窮していることに心が痛みます。

集まろう、集まろうとしていたことができなくなった今、活動がシェアされることで、じんわりと広がるエネルギーになればという想いをこめて“ローカル”で行われている「今ここで、できること」を少しずつご紹介していきます。

いつもの愉しみを“つながり”で届ける

今回は宮城県仙台市における取組みをご紹介します。
宮城県仙台市泉区の住宅街の中で、薪窯を使ったパン屋を営んでいるtotomaぱんの早坂将さんからお話を伺いました。

早坂さん:
「パンは食糧であり、当店は皆さんに食糧を供給するという使命感から、営業を続けております。
来客数は落ちましたが、通販もあるのでなんとか売上を維持することは出来ております。ただ、周りの飲食店の様子をみていて、自身の努力だけではどうにもならないけども何かできることはないか考えています」

実は、早坂さんは2013年11月~毎年秋に、市内の青葉神社の境内で小さなお店を集めて開催する「かすがい市」というマルシェの企画運営に携わってきました。かすがい市は当初春と秋の開催でしたが、2016年から秋のみの開催となり、今回で9回目となります。

名前の由来は、木造建築で柱と土台をつなぐために使われる“鎹(かすがい)”です。“子はかすがい”という言葉にも使われますが、お店とお客様、お店同士、お店とスタッフなど、“人とのつながり”がこの場から沢山生まれますように、と願いをこめて名付けたそうです。

早坂さん:
「出店者は公募せず、県内外で小さいながらもこだわりをもって活動をしているお店や作家さんに直接会いに行き、お誘いしてきました。メディアに頼らず、各お店さんや作家さんがそれぞれ発信することで、お客様に集っていただくという形で少しずつ実績を重ねて今に至ります。」

このマルシェにかける想いを9年経った今でも色あせず強く感じ、こんな時だからこそ「かすがい市」で出逢った仲間と共に“今出来ること”は何かを考える早坂さんの姿がありました。

“美味しいものを食べて、楽しく遊んで、人との触れ合いから自然と笑顔が広がるような、そんな1日を大人も子どもも過ごしてもらいたい“と考え、開催してきた「かすがい市」。今は集まって交流することはできないけれど、小さなお店や作家さんたちが今後も末永く活躍できる場づくりを絶やさないでいきたい。早坂さんは、そのような想いを形にするアイディアを実行にうつすことにしました。

早坂さん:
「かすがい市でつながった小さなお店同士でなにかできないかと思い、色々なお店の商品が入った”福箱”をネットで販売することにしました。全国にいらっしゃる当店の通信販売のお客様に向けて、情報を届けて販売しています」

4月上旬に販売した“福箱”の第1弾は、タルトやマフィン、ジャムやコーヒー豆に中国茶、そしてtotomaぱんのパン等、かすがい市に出店されている個人商店の”おいしい”がたくさん詰まった内容で無事に完売したそうです。そして、売上は各お店に全額渡す予定で、早坂さんは今後も単発で終わらせずにお店を入れ替えたりして繰り返し販売していきたいという想いをもっています。

お客様に来店していただくことがむずかしい中、こういったネット販売を販路としてもつtotomaぱんを拠点に、つながりのあるお店どうして協力し合うことを大切にしていました。いつも立ち寄っていた地域の大好きなお店のいつもの商品を愉しみたい。そして何か出来ることがあれば協力したい。利用者側の立場でそう考えたときに、このようにお店同士で情報をシェアして商品を届けてくれるサービスは、とてもありがたいと感じます。

第2弾はお皿と焼き菓子とパンのセットを販売中です。家で過ごす時間が増えたいまだからこそ、いつもの愉しみをじっくりと味わってみませんか。

リンク:
totomaぱん(福箱購入もこちらから)

【第2弾福箱 参加店舗】*totomaぱん以外
土田英里子さん
かいごはんさん

【第1弾福箱 参加店舗】*totomaぱん以外
パティスリー・ソワン
ミズサキノート
カワカフェ
自家焙煎珈琲ひぐらし
穀雨茶房もも

*福箱は完売の場合がありますので、予めご了承ください。