ローカルニッポン

今ここで、できること。 岐阜県岐阜市

株式会社良品計画 ソーシャルグッド事業部

コロナウィルスという見えないものに対峙し、当たり前が当たり前でなくなった今、改めて働き方や暮らし方を考える方も多いのではないでしょうか。
何が必要で不必要なのか、本当に好きなもの面白いと思うモノコトは何なのか。こんな時におたがいさま、おかげさま、お疲れ様と伝えあえる相手は誰なのか、を立ち止まって考えること。

一方で、様々な地域の個人商店や顔なじみの飲み屋さん、自然と人が集まるシェアスペース等、今まで当たり前に訪れていた場所が危機に直面して困窮していることに心が痛みます。

集まろう、集まろうとしていたことができなくなった今、活動がシェアされることで、じんわりと広がるエネルギーになればという想いをこめて“ローカル”で行われている「今ここで、できること」を少しずつご紹介していきます。

発信し続けること

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今回、お話しを伺ったのは、岐阜県岐阜市で広告やWEBなどのグラフィックデザインをはじめ、商品の企画開発、イベントの企画運営まで、様々な取り組みを行っているデザイン会社、株式会社リトルクリエイティブセンターの杉田映理子さんです。

杉田さん:
「まちにいる人は目に見えて減ってきていて、商店街を歩く人もまばらです。だんだんとその状況は深刻化してきているように感じます。それでも飲食店を中心に、テイクアウト営業に切り替えるなど、できることに前向きに取り組んでます」

リトルクリエイティブセンターでは、自社事業としてローカルメディア「さかだちブックス」を展開しています。ここでは、杉田さんはじめ数名の編集部員が、岐阜市だけではなく、近隣の各務原市や関市などのローカルな情報を毎日発信し続けています。中でも、柳ケ瀬商店街をはじめとした岐阜県内のランチ情報は目にも美味しいものばかり。まとめて配信される“今週の編集部”も小ネタが満載です。

杉田さん:
「こういった状況の中で、私たちができることはやっぱり“情報を発信し続ける”ことだと思っています。そこで、さかだちブックス内で“【岐阜ランチ緊急特別号】テイクアウト・お弁当特集”を展開し始めました。ここでは、テイクアウト営業やお弁当ランチに取り組むお店のまとめ記事を更新しています。また、私たちの活動エリアである岐阜市近郊のテイクアウトできるお店をMAPにまとめて発信することにしました」

実は、MAPのアイディアは読者からアドバイスをいただいて始めることになったそう。普段から情報を発信する側だけではなく、相互にコミュニケーションを図っているのが自然と垣間見えました。

杉田さん:
「この取り組みについて、地域からは“こんなお店もあるよ!”といった口コミでの情報をいただいたり、飲食店を経営されている方からは、“ぜひうちも掲載してほしい”といった希望もいただいています」

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そのほか、取り組む事業のひとつに、カフェ&ショップ&イベントスペース「岐阜ホール」の運営があります。岐阜ホールは、ローカルの発信拠点として、2019年7月に東京上野桜木の閑静な街並みの中に誕生しました。シンプルに表現すると岐阜県を発信する民間運営のアンテナショップ。岐阜の魅力的な人、もの、ことを“もっと全国のみなさんに知ってほしい“、そんな想いから始まったプロジェクトです。

いつもは、岐阜を表現する選りすぐりのアイテムやカフェ空間の提供、訪れた人同士もつながる個性的なイベントの企画をしている岐阜ホール。今どのような取り組みを行っているのでしょうか。

杉田さん:
「岐阜ホールは現在、臨時休業中です。ただ、実店舗はお休みしていても、その分3月にオープンしたばかりのオンラインストアに力を入れることにしました。さきほどのさかだちブックスと連携して、“岐阜のよいもの”(雑貨や食品)を、その商品のストーリーを伝える紹介記事とともにお届けしています。ご自宅での時間を楽しんでいただけるような商品を続々入荷中です」

スタートしたばかりのオンラインストアでは、岐阜県外からの注文が多く寄せられているそうです。今この時に、訪ねることはできないけれど、“岐阜のよいもの”に触れることのできるオンラインストアはこういったすべての人にとってほっとする存在といえるでしょう。

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杉田さん:
「オンラインストアの運営は初めてで、私たちも試行錯誤の毎日です。まだまだ整わない部分もありますが、悩んでじっとしているよりは、どんどんチャレンジしていく姿勢を大切にしています!さかだちブックスと岐阜ホールという2つのメディアを通して、岐阜県内だけでなく、全国に岐阜の魅力を広げていけたら嬉しいです。オンラインだからこそより広く情報を届けることができるので、今回の出来事をこれまでやってきたことを改めて丁寧に見直すきっかけとして前向きに捉え、次につなげていきたいと思います」

ある人にとっては故郷であり、ある人にとっては一度旅した忘れられない土地、ある人にとっては未知の場所。杉田さんたちは、あらゆる人に向けて、岐阜の魅力的な人、もの、ことを“もっと全国のみなさんに知ってほしい“という変わらぬ意思をもち、多面的なアプローチで情報発信をし続けています。ぜひ、ご覧になってみてください。家にいる時間が増えた今、今までなんとなく気になっていた日本全国の“よいもの”を探してみるのも楽しそうですね。

リンク:
さかだちブックス【岐阜ランチ緊急特別号】テイクアウト・お弁当特集
岐阜ホールオンラインストア

「ローカルニッポン」過去の記事
民間運営のアンテナショップ「岐阜ホール」が取り組むローカルの編集と発信。